アルミの加工方法と注意点|アルミの特徴やアルミ合金の種類も解説

  • 投稿日:2023年12月26日(火曜日)
アルミの加工方法と注意点|アルミの特徴やアルミ合金の種類も解説

アルミは軽い、強度が高いなどの特徴を持つことから、あらゆる製品や部品に使用されています。
なお、切削加工においては、純度100%のアルミでは柔らかすぎるため、銅やマグネシウムなどが添加された合金を使用することが多いです。
この記事では、そんなアルミについて、特徴や種類、加工方法や加工時のポイントなどについて解説します。

アルミニウムの特徴

アルミは軽い、強度が高いだけでなく、以下のようにさまざまな特徴を持ちます。

  • 軽い
  • 柔らかい
  • 比強度が高い
  • 耐食性が高い
  • 熱伝導率が高い

軽い

アルミは非常に軽い金属です。
比重は2.7で、鉄の7.85と比較しても3分の1以下となっています。
一般的な金属の中では、比重が1.7のマグネシウムに次いで2番目に軽いです。
このことから、アルミは自動車や航空機などにおいて非常に重要な役割を担っています。

柔らかい

アルミは非常に柔らかく、曲げなどの成形加工を比較的容易に行えます。
なお、切断加工も比較的容易に行えますが、延性が高く伸びやすいため、バリが発生しやすい特徴も持ちます。

比強度が高い

先ほど、アルミは柔らかい特徴を持つことに触れましたが、実は比強度は高いです。
比強度とは強度を密度で割ったもので、後に触れる他の金属が添加されたアルミ合金の場合、これは高くなります。

耐食性が高い

アルミは空気中で酸素に触れることにより被膜を生成します。
これにより腐食しにくくなります。
この特徴により、アルミは雨風にさらされる屋外で使用される製品や部品に使用されることが多いです。

熱伝導率が高い

アルミは熱を伝えやすい特徴を持ちます。
簡単に言うと、熱しやすく冷めやすいということです。
これにより、冷却フィンやヒートシンクなどに使用されます。

アルミニウム合金の種類

冒頭で触れたように、アルミは純度100%だと切削加工を行ううえでは柔らかすぎるため、強度を持たせるため銅やマグネシウムなどが添加された合金を使用することが多いです。
なお、アルミ合金はアルファベットのAと4桁の数字の組み合わせで種類がわけられます。
それぞれ特徴が異なるため以下で解説します。

A1000番台

添加金属のない、純度99%以上のアルミで、これは合金ではありません。
耐食性や熱伝導率などには優れるものの、強度は以降のアルミ合金と比較して低く、また粘り気もあるため、切削加工を行う際には注意が必要です。

A2000番台

銅が添加されたアルミ合金です。
強度が高くなっており、これにより切削加工を行いやすくなっています。
ジュラルミンと呼ばれるアルミ合金に種類わけされます。
しかし、銅が酸化しやすいことから、耐食性には優れません。

A3000番台

マンガンが添加されたアルミ合金です。
もともとアルミが持つ耐食性を維持しつつ、強度が高くなっています。
切削加工ではなく、成形加工において使用されるのが一般的です。

A4000番台

シリコンが添加されたアルミ合金です。
これにより耐熱性や耐摩耗性、また熱膨張にも優れています。
A3000番台同様、一般的に切削加工には使用されません。

A5000番台

マグネシウムが添加されたアルミ合金です。
耐食性や耐摩耗性が高くなっており、切削加工でよく採用される種類です。
中でも代表的なのは、A5052やA5056などです。

A6000番台

シリコンとマグネシウムが添加されたアルミ合金です。
耐食性や強度がA5000番台より高くなっています。
なお、銅を添加して熱処理を加えた、鉄鋼のSS400程度の強度を持たせた、A6061が代表的です。

A7000番台

マグネシウムと亜鉛が添加されたアルミ合金です。
熱処理を行うことで、アルミ合金の中で最も強度の高い種類となります。
代表的なのはA7075で、これは超々ジュラルミンと呼ばれます。

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アルミニウム加工方法の5つの種類

ここまでアルミの特徴について触れてきましたが、その中でいくつかの加工方法があることについても触れてきました。
ここでは、そんなアルミの加工方法の代表的な5種類について、簡単に解説します。

切削加工

切削加工は、旋盤やフライス盤などを使用し、アルミの表面に工具(刃物)を当てて削り取ることで、希望の形状や寸法にする方法です。
なお、以降でも触れているように、切削加工では切粉が発生しますが、アルミにおいては溶着の可能性があります。

曲げ加工

アルミは柔らかい特徴を持つため、プレス機やベンダーなどを使用した曲げ加工も代表的な方法のひとつです。
ただし、アルミの曲げ加工においては、割れに注意が必要となります。

▼アルミの曲げ加工についての記事
アルミの曲げ加工の方法と注意点|アルミの特徴についても解説

切断加工

曲げ加工同様、アルミの柔らかいという特徴から、切断加工も代表的な方法のひとつにあげられます。
使用するのは、チップソーやコンターなどです。
しかし、すでに触れているように、アルミは延性が高いため、バリが発生しやすいです。

▼アルミの切断加工についての記事
アルミ板の切断方法と使用機械や工具|個人やDIYで行うには?

穴あけ加工

穴あけ加工は、旋盤やフライス盤、ボール盤などで、ドリルを使用して穴をあける方法です。
穴あけ加工も溶着の可能性がある点には注意が必要となります。

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溶接

アルミ同士を熱で溶かして接合する加工方法です。
なお、アルミは融点が600度程度と低いですが、表面は酸化被膜で覆われていて、この融点は2000度程度のため、非常に高温で行わなければいけません。
加えて、すでに触れているようにアルミは熱伝導率が高いため、割れや歪みが発生しやすいです。
これらのことから、アルミの加工は難しいとされています。

アルマイト

アルマイトとは、アルミの表面に人工的な酸化皮膜を生成する加工方法です。
アルミはもともと酸化被膜を自然に生成しますが、さらに耐食性や耐摩耗性を向上させたり、色や光沢を付与したりする際に行われます。
アルマイトについては、以下の記事で詳しく解説しています。

▼アルマイトについての記事
アルマイト処理とは?種類やメリット・デメリットを徹底解説!

アルミニウムの加工におけるメリット

アルミは、さまざまな特徴を持つことから、あらゆる製品や部品に使用されています。
そんなアルミですが、実際に加工で使用するうえでは、以下のようなメリットがあります。

軽量化できる

再三触れていますが、アルミの特徴のひとつに軽いという点があげられます。
具体的には、鉄の約3分の1です。
そのため、アルミを使用することで製品や部品の軽量化を図ることが可能です。

特に、製品が大型ともなると、当然それだけ重量も増します。
結果、想定場所に製品を設置できなかったり、運搬コストが大幅にかかったりしてしまいます。

そこで、アルミを使用することで、これらのリスクを回避することができます。
また、それなりの重量の製品は、それなりの強度を要する場合もありますが、すでに触れているように、アルミ合金は非常に高い強度も持ち合わせています。

加工性が高い

アルミは、その特徴から加工性が高いです。

まず、再三触れているように、アルミは柔らかい金属なため、切削加工を行いやすく、精密な形状でもしっかりと実現することができます。
なお、アルミ同様、軽くて強度の高い金属にはチタンとマグネシウムがありますが、チタンは強度が高すぎる、マグネシウムは切粉が発火しやすく水に触れると燃焼する危険がある、といったことから難削材にあたり、寸法精度を出せなかったり、出せても時間がかかったりして、コストがかかる可能性があります。

また、柔らかい金属であることから、アルミはプレスといった塑性加工、その他切断加工にも合っています。
さらに、アルミは融点が低い特徴も持つため、鋳造、また溶接やろう、はんだ付けなどの接合加工も比較的容易に行うことが可能です。

さまざまな場所で使用できる

すでに触れているように、アルミは空気中で酸素に触れることにより被膜を生成するため、耐食性が高いです。
環境によっては腐食する場合もありますが、この場合はアルマイトと呼ばれる人工的な酸化被膜を生成します。
これにより、アルミは雨風にさらされる屋外で使用される製品や部品に使用することが可能です。

また、アルミは非磁性体という特徴も持ちます。
簡単に言うと磁気を帯びないという特徴になりますが、これにより磁場の影響を受けないため、医療現場などで使用することが可能です。

アルミニウムの加工における注意点

アルミにはさまざまな特徴、メリットがありますが、加工においては以下のような注意点もあります。

寸法変化

アルミは他の金属と比較すると、熱膨張しやすいです。
そのため、切削加工をする際の熱によって、寸法が変化してしまう可能性があります。
なお、これは切削油の使用により防止することが重要となります。

熱で溶けやすい

すでに触れているように、アルミは熱の影響を受けやすいです。
アルミは融点が600度程度ですが、酸化被膜の融点は2000度程度となります。
これに熱伝導率が高い特徴が合わさり、溶接を行う際には欠損が生じることがあります。
また、次で解説していますが、このことに関して、切削加工においては切粉についても注意が必要です。

切粉

アルミの切削加工を行うと、切粉が大量に発生します。
なお、アルミにおいては、この切粉が工具に溶着してしまう可能性があります。
その結果、寸法精度を出せなくなる可能性があります。
この場合は、先ほどと重複しますが切削油を使用すること、またエアブローを使用することが対策としてあげられます。

まとめ

この記事では、主に切削加工におけるアルミの基礎知識を解説してきました。
なお、切削加工はもちろん、アルミの加工の依頼を検討されているなら、ぜひ当サイトのJig Matchをご利用ください。

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