鉄板の曲げ加工|鉄板の種類・方法と注意点を解説
鉄板はさまざまな製品に使用されますが、そのうえでは曲げ加工が行われるケースも多いです。
この記事では、そんな鉄板の曲げ加工について、鉄板の種類から曲げ加工の方法や注意点などを解説します。
目次
鉄板の種類
鉄板にはいくつか種類がありますが、よく使用されるのが一般構造用圧延鋼材(SS材)と機械構造用炭素鋼鋼材(SC材)です。
一般構造用圧延鋼材(SS材)
一般構造用圧延鋼材は、Steel Structureを略してSS材とも呼ばれ、特によく使用される種類です。
比較的安価で流通量が多いことから入手しやすく、汎用性が高く自動車や船などの部品、建築物の柱や橋脚など幅広い分野で使用されています。
なお、鉄は含む炭素量が多いほど硬くなりますが、この一般構造用圧延鋼材は0.15~0.20%と少なく、低炭素鋼とされています。
これにより硬度は高くないものの、切削をはじめとした加工性が高い特徴を持ちます。
しかし、反対に炭素量が少ないため焼き入れはできず、強度の向上は行うことができません。
また、耐食性も低く、先ほど触れたように硬度が高くないこともあり、表面処理を行ったうえで使用されることが多いです。
ちなみに一般構造用圧延鋼材の中にも種類があり、SS400がその代表としてあげられます。
機械構造用炭素鋼鋼材(SC材)
機械構造用炭素鋼鋼材は、SteelとCarbonを略してSC材とも呼ばれ、SS材同様よく使用される種類です。
不純物となるリン(P)や硫黄(S)を含む量を抑えていることからその分価格は高くなっていますが、含む炭素量は0.1~0.6%と先ほどの一般構造用圧延鋼材と比較すると多いことから硬くなっています。
なお、一般構造用圧延鋼材と比較して硬いとは言え加工性は高く、また焼き入れができるため強度をコントロールできる特徴も持ちます。
しかし、溶接に関しては割れや硬化を起こす恐れがあり、向いていないとされています。
ちなみにこの機械構造用炭素鋼鋼材は、名称にもあるように、ベアリングやドリルチャックなど、機械の部品に使用されることが多いです。
なお、機械構造用炭素鋼鋼材の中にも種類があり、S45CやS50Cなどがその代表としてあげられます。
鉄板の曲げ加工の方法
鉄板の曲げ加工の方法は、以下のようにいくつか種類があります。
- ベンダー曲げ加工
- ロール曲げ加工
- 熱間曲げ加工
- 線状加熱加工
ベンダー曲げ加工
プレスブレーキと呼ばれる機械を使用して、鉄板をパンチで金型に押し付けることで目的の形状に曲げる、最も一般的な方法です。
冷間曲げ加工に分類される方法のひとつになります。
大量生産に向いた方法で、パンチと金型、また力の加え方次第で、以下のようにさまざまな形状に曲げることができます。
ベンダー曲げ加工 | |
V曲げ | V字型のパンチと金型を使用してV字に曲げる方法です。 以下の3種類にわけられます。 ▼パーシャルベンディング(エアベンディング) |
L曲げ | 金型で押さえながら端部をパンチで押し付けて直角のL字に曲げる方法です。 |
U曲げ | パンチと逆押さえで挟んで金型に押し付けてU字に曲げる方法です。 |
Z曲げ | V曲げまたL曲げを2回繰り返してZ字に曲げる方法です。 専用の金型にパンチで押し付けて1回でZ字に曲げる方法もあります。 |
R曲げ | R型の形状の金型にパンチで押し付けてR形状に曲げる方法です。 |
P曲げ | 金型に固定して順にパンチで複数回押し付けながらP字に曲げる方法です。 |
O曲げ | 金型に固定して順にパンチで複数回押し付けて円筒形状に曲げる方法です。 |
ヘミング曲げ | 端部を180度折り返して平らに曲げる方法です。 |
ロール曲げ加工
ロールベンダーと呼ばれる機械を使用して、3本や4本といった複数のローラーに鉄板を通し、その回転する力を利用して目的の形状に曲げる方法です。
ロール曲げ加工も、冷間曲げ加工に分類される方法のひとつになります。
鉄板の通し方、ローラーの動かし方や径、鉄板とローラーの距離を変えることで、円筒形状やテーパー形状など、さまざまな曲げ加工を行うことができます。
熱間曲げ加工
鉄板を加熱したうえで曲げる方法です。
加熱すると柔らかく、また形状を変えやすくなる鉄の性質を利用した方法になります。
ここまでで触れた冷間曲げ加工とは違い、大きな力を必要としないことから、厚みがある場合やより小さな角度にする必要がある場合などに用いられます。
線状加熱加工
火であぶり加熱し膨張させた後、水をかけ冷却して収縮させることで曲げる方法です。
最初は火であぶるとあぶった反対側に曲がりますが、水をかけると火であぶった側に曲がります。
部分的に曲げる場合、大きな鉄板を曲げる場合、複雑な形状に曲げる場合などに用いられ、船の部品などに用いられることが多い方法です。
鉄板の曲げ加工の注意点
鉄板の曲げ加工を行ううえでは、いくつか注意点があります。
素材の種類と特徴を把握する
ここまでで、鉄板の種類として一般構造用圧延鋼材(SS材)と機械構造用炭素鋼鋼材(SC材)に触れました。
これらは、硬さや焼き入れ可否、溶接の向き不向きなど、違いがあります。
また、それぞれの中でも種類があり、例えば機械構造用炭素鋼鋼材のS45CとS50Cでも、含む炭素量が違うため硬さが違ううえ、前者は丸材で後者は角材として流通しています。
そのため、単なる曲げ加工を行うことだけに注目するのではなく、他の工程や実際に作る製品や部品を使用する環境などを考慮して素材を選定する必要があります。
スプリングバックを考慮する
金属には弾性と塑性という性質があり、これにより曲げ加工を行うと元に戻ろうとする現象が起こります。
これはスプリングバックと呼ばれますが、鉄板の曲げ加工を行う場合も同様です。
そのため、鉄板の曲げ加工を行う際には、スプリングバックを考慮する必要があります。
必要に応じて、2段曲げやストライキングといった対策を行うことが大切です。
曲げ加工を行うことを考慮して設計する
鉄板の曲げ加工を行ううえでは、設計の段階においても注意点があります。
例えば、鉄板に穴あけ加工も行う場合、これが曲げる部分に近いとひずみが生じる恐れがあります。
また、最小曲げ半径と呼ばれ、素材によって曲げることができる限界の角度は決まっているのですが、それ以上に曲げるとクラックと呼ばれる割れが生じる恐れがあります。
そのため、これらのようなことを考慮して設計することも大切です。
まとめ|部品製作のことならJig Match
この記事では、鉄板の曲げ加工について解説しました。
鉄板の曲げ加工を依頼する際や仕事をする際の参考になれば幸いです。
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