炭素鋼とは？種類ごとの特徴と用途を解説

• 投稿日：2024年1月26日(金曜日)

金属で部品を製作する際、材料としては鉄があります。
しかし、一般的にこの鉄は、炭素鋼と呼ばれるものです。
この記事では、そんな炭素鋼の概要や種類、また用途について解説します。

炭素鋼とは

炭素鋼とは、鉄と炭素を主な成分とする合金のことです。
炭素の含有量が0.02％～2.14％の鉄鋼材を指します。
他にはケイ素（Si）、マンガン（Mn）、リン（P）、硫黄（S）などを含みます。

ちなみに、鉄は炭素の含有量によって一般的に鉄、鋼鉄、鋳鉄に分類されます。

鉄の分類
一般名称	鉄	鋼鉄	鋳鉄
炭素の含有量	0.02％未満	0.02％～2.14％	2.14％～6.7％
JIS規格	純鉄	鋼鉄	鉄

中でも炭素鋼は、硬度と強度のバランスが取れています。

炭素の含有量が多くなることで、硬度も高くなります。
しかしその反面、もろくなり、衝撃には弱いです。

そこで行われるのが、熱処理になります。
炭素の含有量に加え、焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし、焼きならしを行うことで、硬度と強度のバランスをコントロールすることが可能です。

なお、炭素鋼の中でも、炭素の含有量によって、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼と種類が分類されます。

炭素鋼の種類

炭素鋼の種類は、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼の3つとなります。

炭素鋼の種類
炭素鋼の種類	低炭素鋼	中炭素鋼	高炭素鋼
炭素の含有量	0.02％～0.25％	0.25％～0.6％	0.6％～2.14％
JIS規格	SPC材、SS材、S-C材	SS材、S-C材	SK材

炭素の含有量によって分類され、SPC材、SS材、S-C材、SK材と、規格化されています。
それぞれ以下で詳しく解説します。

SPC材（冷間圧延鋼板）

SPC材は、炭素の含有量が0.15%以下の低炭素鋼です。
SPCはSteel Plate Cold rolledの略で、冷間圧延鋼板を指します。
代表的なものとしてSPCC、加えてSPCD、SPCEの3種類があります。
特徴としては延性が高く、曲げや切断などのプレス加工に適しています。

SS材（一般構造用圧延鋼板）

SS材とは、炭素の含有量が0.15％～0.35%の低炭素鋼また中炭素鋼です。
SSはSteel Sheetの略で、一般構造用圧延鋼板を指します。
代表的なものとしてSS400、加えてSS490があります（数字は引っ張り強さの最小保証値です）。
特徴としては強度が高く、耐摩耗性や溶接性に優れ、幅広い分野で使用され、比較的安価であることから最も流通している炭素鋼です。

S-C材（機械構造用炭素鋼鋼板）

S-C材は、炭素の含有量が0.35％～0.6%の中炭素鋼また高炭素鋼です。
S-CはSteel Carbonの略で、機械構造用炭素鋼鋼板を指します。
SとCの間に数字が入り、代表的なものとしてS45CやS50Cがあります（数字は炭素の含有量です）。
SS材に次いで流通している、比較的安価な炭素鋼です。
特徴としては機械的強度が高く、また熱処理によって硬度と強度のバランスをコントローしやすく、耐久性を求められるシーンで使用されます。

SK材（炭素工具鋼鋼材）

SK材は、炭素の含有量が0.6％～1.5%の高炭素鋼です。
SKはSpecial Killed Steelの略で、炭素工具鋼鋼材を指します。
SKの後ろに数字が入り、SK85やSK95があります（数字は炭素の含有量です）。
特徴としては非常に硬度や耐摩耗性に優れ、名前の通り刃物などに使用されます。

炭素鋼の用途

炭素鋼の中でも代表的なものとして、SS400やS45Cがあげられます。

SS400は比較的安価であることから、最も流通しており、高い強度に加え、耐摩耗性や溶接性に優れる特徴を持ちます。
そんなSS400は、自動車や船舶、機械、また橋などにも使用されます。
このことからもわかるように、非常に幅広い分野で使用されます。
しかし、鉄鋼材の中では強度が高いわけではないうえ、熱処理を行うことができません。
また、錆びやすい特徴も持つため、用途によってはメッキや黒染めが必要となります。
そのため、状況に応じて他の種類を選択しなければならない場合もあります。

S45Cも同様に比較的安価で、機械的強度が高いうえ、熱処理を行える特徴を持ちます。
そのため、耐久性が求められるシーンで使用されます。
例えば、機械の内部の部品、具体的には歯車などがあげられます。
しかし、S45CもSS400同様、錆びやすい特徴を持つため、用途によっては防錆処理が必要となります。

まとめ

炭素鋼は、鉄と炭素を主な成分とする合金です。
金属で部品を製作する際には、まずこの炭素鋼の名前があがるでしょう。
代表的な種類としてはSS400とS45Cがあげられますが、他の種類を含め特徴が異なるため、用途に応じて選択することが重要です。

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