SUS410とは｜化学成分や機械的性質・特徴や用途

• 投稿日：2024年10月8日(火曜日)

SUS410はマルテンサイト系ステンレスの代表的な種類のひとつです。
この記事ではそんなSUS410について、基本的な情報をまとめました。

SUS410とは

SUS410は、ステンレス鋼の一種で、主にクロムを含有するマルテンサイト系ステンレスに分類されます。
マルテンサイト系ステンレスは、熱処理によって硬さや強度が向上する特性を持っており、SUS410もその例外ではありません。
耐食性と強度のバランスが取れており、特に耐摩耗性や硬度が求められる機械部品や工具、刃物などに広く使用されています。

しかし、ステンレス鋼は錆に強い性質を持ちますが、SUS410の耐食性は、SUS304などのオーステナイト系ステンレスと比較するとやや低めです。
そのため、腐食が発生しやすい環境下での使用には注意が必要です。
しかし、熱処理を行うことで高い強度と硬度を得られるため、耐久性が重要視される用途には適しています。

また、SUS410は磁性を持っているため、磁気を利用する機械部品や工具に使用されることも多いです。
一般的には比較的安価で入手でき、汎用性が高いため、さまざまな産業で利用されています。

SUS410の化学成分

SUS410の化学成分は以下の通りです。

SUS410の化学成分
炭素(C)	ケイ素(Si)	マンガン(Mn)	リン(P)	硫黄(S)	クロム(Cr)
0.15%以下	1.00%以下	1.00%以下	0.040%以下	0.030%以下	11.50%～13.50%

※JSI G4310参照

これらの成分は、SUS410の特性に大きな影響を与えており、特にクロムの割合が高いため、一定の耐食性が保証されています。
また、炭素の含有量が硬度や強度に影響を及ぼし、適切な熱処理により優れた機械的特性を引き出すことができます。

SUS410の機械的性質

SUS410の機械的性質は以下の通りです。

SUS410の機械的性質
耐力（N/mm2）	引張強さ（N/mm2）	伸び	絞り	シャルピー衝撃値（J/cm2）	硬さ（HBW）	硬さ（HRBSまたはHRBW）	硬さ（HV）
345MPa以上	540MPa以上	25％以上	55％以上	98以上	159以上	84以上	166以上

※JSI G4310参照
※焼入焼戻し状態の機械的性質

SUS410は、焼入れや焼戻しなどの熱処理により、非常に高い硬度を得ることができます。
このため、機械部品や刃物など、高い硬度や耐摩耗性が要求される用途に使用されることが多いです。
硬度と強度のバランスが取れているため、切削加工や研磨も比較的容易です。

SUS410の特徴

ここまででも触れているように、SUS410は熱処理によって硬さや強度が向上し、耐食性とのバランスが取れているといった特徴を持ちます。
しかし、SUS410には他にも多くのメリット、またデメリットもあります。

メリット

SUS410のメリットとしては以下があげられます。
 

• 高い強度と硬度
• 耐食性
• コストパフォーマンス
• 磁性

 

高い強度と硬度

SUS410は熱処理によって高い強度と硬度を得られるため、耐摩耗性が重要な用途に適しています。
特に機械部品や工具、ナイフなどでは、この特性が大いに活かされています。
 

耐食性

SUS410は13%程度のクロムを含んでおり、これにより一定の耐食性を持っています。
特に湿潤環境での使用では、一般的な鋼よりも腐食しにくいです。
ただし、SUS304などのオーステナイト系ステンレスに比べると、耐食性はやや劣るため、腐食環境では注意が必要です。
 

コストパフォーマンス

SUS410はステンレス鋼の中でも比較的安価で、しかも熱処理による性能向上が期待できるため、コストパフォーマンスに優れています。
広範な用途に対応できるため、多くの産業で利用されています。
 

磁性

SUS410は磁性を持つため、磁気を利用する部品や機械に使用されることが多いです。
この特性はオーステナイト系ステンレスにはないため、SUS410特有のメリットとなります。

デメリット

一方で、SUS410のデメリットとしては以下があげられます。
 

• 耐食性の限界
• 脆さのリスク
• 加工性の制限

 

耐食性の限界

オーステナイト系ステンレスに比べると、耐食性は劣ります。
特に塩素を含む環境や海水などの腐食性の強い場所では、腐食が進みやすいため、適切な使用環境を選ぶ必要があります。
 

脆さのリスク

高温での使用や急激な冷却を行った場合、脆くなる可能性があります。
このため、使用温度範囲や熱処理の管理が非常に重要です。
 

加工性の制限

SUS410は硬度が高いため、切削加工や溶接においては、オーステナイト系ステンレスと比較して加工が難しい場合があります。
特に熱処理後の硬度が上がった状態では、専用の工具や技術が必要です。

SUS410の用途

SUS410はその特性から、以下のようなさまざまな用途に使用されています。

ナイフやカッター	高い硬度と耐摩耗性が求められるため、刃物として使用されることが多いです。
バルブやポンプ部品	強度や耐摩耗性、さらに耐食性を活かして、工業機器の重要な部品に使用されます。
ボルトやナット	強度が必要な機械部品に広く使用されています。
工具やドリル	切削工具や研削工具として、高い硬度が要求される場面で利用されます。

まとめ

この記事ではSUS410についての情報をまとめましたが、部品製作の依頼や部品製作の仕事の受注をお考えなら、ぜひ当サイトJig Matchをご利用ください。

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