アルミ板の穴あけ加工の方法と注意点|ネジ穴やリーマ加工などについても解説
アルミは軽量で強度があるなどの特徴を持つことから、自動車や飛行機、また日用品など、幅広く使用されている材料です。
この記事では、そんなアルミの穴あけ加工について、方法や注意点を中心に解説します。
目次
アルミの特徴
アルミは以下のように、さまざまな特徴を持ちます。
アルミの特徴 | |
軽量である | アルミは比重が2.7で、鉄の7.8や銅の8.9と比較すると、約1/3です。 一般的な金属の中では、比重が1.7のマグネシウムに次いで軽量です。 |
非磁性体である | アルミは磁気を帯びない非磁性体です。 金や銀、銅なども非磁性体ですが、アルミは比較的安価で流通量も多いため、電子医療機器やメカトロニクス機器などで重宝されています。 |
耐食性が高い | アルミは空気中で酸素と結合することで表面に被膜を生成するため、耐食性が高いです。 そのため、錆や腐食が発生しやすい屋外で使用される製品や部品に使用されることが多いです。 |
溶解性が高い | アルミは融点が約660度と比較的低いため、溶解性が高いです。 しかし、酸化被膜を生成して、なおかつこの融点が約2000度と、アルミの融点約660度から約1300度も高いため、溶接は難しいとされています。 |
加工性が高い | アルミは柔らかく延びやすいため、切削や切断、曲げや穴あけなどを行いやすく、加工性が高いです。 |
導電性が高い | アルミは銅に次いで電気を通しやすく、導電性が高いです。 また、アルミは比較的安価なため、電線をはじめとして、エネルギーやエレクトロニクスの分野で重宝されています。 |
熱伝導率が高い | アルミは熱伝導率が高く、これは鉄の約3倍です。 熱しやすく冷めやすい性質から、冷暖房装置やエンジン部品、ヒートシンクや放熱フィンなどに使用されています。 |
反射性が高い | アルミは反射性が高く、熱や光を効果的に反射します。 そのため、照明器具や暖房器具の反射板などに使用されています。 また、赤外線や紫外線、電磁波なども効果的に反射します。 |
なお、純度100%のアルミが使用されることは少なく、マグネシウムや銅などが添加されたアルミ合金が使用されることが一般的です。
そんなアルミ合金はいくつか種類があり、それらによって特徴も異なります。
アルミ合金については以下の記事で解説しています。
アルミの穴あけ加工の種類と方法
アルミの穴あけ加工には、以下のようにいくつか種類があります。
- 穴あけ加工
- リーマ加工
- ネジ穴加工
- レーザー加工
穴あけ加工
旋盤やボール盤を使用して、ドリルで穴をあける方法です。
まずはポンチなどを使用して、穴をあける位置に目印を付けます。
その後、ドリルを取り付けた旋盤やボール盤を使用して、目的の径また深さの穴、具体的にはアルミを貫通させる通し穴や貫通させない止まり穴、またボルトなどの頭部を飛び出させないための座ぐり穴などをあけます。
なお、使用するドリルはツイストドリルが一般的ですが、センタ穴ドリルや座ぐりドリルなど、用途ごとなどにさまざまな種類があります。
ちなみに、アルミの穴あけ加工は、電動ドリルを使用して、個人やDIYで行うことも可能です。
リーマ加工
リーマ加工は、あけた穴の径を広げながら、内側をなめらかに仕上げる方法です。
まず、先ほどの方法でアルミに目的の穴をあけます。
その後、ボール盤やマシニングセンタ、フライス盤などにリーマと呼ばれる工具を取り付けて、加工を行います。
リーマ加工は切削と、バニシング、つまり塑性変形と加工硬化を合わせた原理となっています。
これにより、内側を高精度に仕上げることが可能です。
なお、工作機械で行う場合はマシンリーマやブローチリーマを使用しますが、手作業で行うこともでき、この場合はハンドリーマを使用します。
また、テーパ形状の穴の場合はテーパリーマといったように、専用の工具もあります。
ネジ穴加工(タップ加工)
ネジには、雄ネジと、これを受ける雌ネジがあります。
ネジ穴加工は、その中でも雌ネジを作る方法です。
具体的には、まずアルミに使用予定の雄ネジの径や深さに合わせた下穴をあけます。
次に、面取りカッターや下穴の径より大きなドリルを使用して、入口にできたバリを除去します。
その後は、ネジを作るタップと呼ばれる工具を使用して、雌ネジを作ります。
なお、タップをタップハンドルに取り付けて、手作業でゆっくり回してネジ穴加工する方法もあります。
レーザー加工
レーザー加工による穴あけは、工具ではなくレーザー光を使用して非接触で行うため、径を自由に決めることができたり傾斜にできたり、また高精度にできたりといったメリットがあります。
仕組みとしてはまず、レーザー発振器でレーザー光を発生させて、反射ミラーなどでこれを送り集光レンズで集め、増大させたエネルギーをレーザーヘッドから照射して、アルミを融解また蒸発させて穴をあける、といったものになります。
炭酸ガスレーザー加工やファイバーレーザー加工などの方法があり、先ほども触れましたが径を自由に決めることができるため、微細な穴をあけることも可能です。
また、非接触であることから、レーザー光の照射角度を変えることで傾斜に穴をあけることができたり、工具が入らないような細かい場所でも穴をあけることができたりします。
加えて非接触であることは、工具を使用した際のようなバリなどを発生させず、また加工面もきれい仕上がるなど、さまざまなメリットがあります。
アルミの穴あけ加工は溶着に注意が必要
アルミの穴あけ加工においては、溶着に注意が必要です。
先ほど触れたように、アルミは融点が約660度と比較的低いです。
そのため溶解性が高いとも言えますが、穴あけ加工においては、ドリルなどの工具にアルミの切りくずが溶着しやすいとも言えます。
これは、精度が悪くなる原因になり得るため、以下のような対策を行うことが必要です。
ドリルの回転速度は速めにする
切削油を使用する
ドリルの回転速度は速めにする
まず対策としてあげられるのが、ドリルなどの工具を使用する際、回転速度を速めにすることです。
回転速度が遅いと、作業効率が悪いことに加え、抵抗が増して熱を持ちやすくなります。
その結果、溶着が起こりやすいです。
そのため、溶着の対策としては、ドリルなどの工具を使用する際、回転速度を速めにすることがあげられます。
切削油を使用する
また、対策としては切削油を使用することもあげられます。
切削油の使用は、穴あけ加工における抵抗を抑えて、これにより冷却の役割を果たします。
加えて、切りくずを流す役割も果たすため、溶着への対策としてあげられます。
なお、切削油には、鉱物油いくつか種類があるため、適切なものを選定することが大切です。
まとめ|部品製作のことならJig Match
この記事では、アルミの穴あけ加工の方法や注意点を中心に解説してきました。
アルミの穴あけ加工の依頼や仕事をする際に参考になれば幸いです。
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