【治具(jig)とは】目的と種類・使用するメリットと製作の依頼先について
製造業界においてよく耳にする“治具”。
しかし、これから製造業界に身を置こうと考えている方はもちろん、これまで製造業界に身を置いてきた方も、
「そもそも治具とは何なのか?」
「治具にはどんな種類があるのか?」
「どんな目的で使われて、どんなメリットがあるのか?」
など、なんとなく言葉は知っていても、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、治具とは加工において工具を誘導したり、加工されるもの(ワーク)を固定したりするものになります。
例えば、加工されるもの(ワーク)の同じ場所にドリルで穴を開けるための、ガイドブッシュなどがあげられますね。
なお、あくまでこれは一例で、そんな治具の種類は非常に多岐に渡ります。
そしてその恩恵は、品質の向上や加工の手間の削減だけでなく時間やコストの節約にもなるのです。
この記事では、そんな治具にまつわる情報をまとめました。
目次
治具とは加工をサポートするもの
冒頭でもお伝えしましたが、結論から言うと治具とは製造業界において加工する際に工具を誘導したり、加工されるもの(ワーク)を固定したりするものになります。
つまり簡単にいうと、治具とは加工をサポートするものということです。
とはいえ、言葉だけだとわかりにくい部分もあるかと思いますので、実際に以下の例で確認してみましょう。
これは、ドリルでの穴開け加工をイラスト化したものですが、色が変わっている部分が治具となります。
ガイドブッシュによって、ドリルが加工されるもの(ワーク)に対して同一位置に穴開けできるようになっていることがわかるでしょう。
また、位置決めピンによって、加工されるもの(ワーク)をしっかり固定できており、ミスが起こらないようになっていることもわかります。
このように、治具とは加工をサポートする役割を持つもののことを指すのです。
治工具との明確な違いはない
前述で、治具の概要を簡単にご説明しました。
ただ、製造業界には、“治工具”という似た言葉も存在します。
そこで、
「治具は治工具とは違うのか?」
と、このような疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし結論から言うと、現在の現場では、基本的に治具と治工具は同じ扱いになっていることが多いようです。
実際に弊社のスタッフに聞いてみたところ、
「治具と治工具をそこまで明確にわけて言葉を使っているわけではない。」
とのことでした。
つまり、再度先程のイラストを例にすると、色が変わっている部分もそうでない部分もまとめて治具=治工具となる、ということです。
とはいえ、厳密に言うと治具と治工具の意味は以下のように違うようです。
治工具=治具+工具という意味
よって、先程お伝えしたように治具はあくまでも加工をサポートするもので、実際に加工されるもの(ワーク)を直接加工するドリルなどが工具という扱いになり、これらをまとめて治工具となるということです。
しかし繰り返しますが、現在の現場では治具も治工具も同じ意味として使われることが多いため、さほど気にする必要はないでしょう。
治具の種類
ここまで治具の概要を説明してきました。
その中では主に、以下の治具を例に紹介してきました。
- ガイドブッシュ
- 位置決めピン
しかし繰り返しますが、治具とは加工をサポートするものであるため、目的に応じて様々な種類が存在します。
そこでここでは、どのような治具の種類があるのか、さらにいくつかの例で確認してみましょう。
- 固定治具
- 位切断治具
- 曲げ治具
- 塗装治具
- 溶接治具
- 熱処理治具
- 組み立て治具
- 検査治具
固定治具
固定治具は、ここまでですでに触れていますドリルでの穴開け加工における位置決めピンや、バイスなどがあげられます。
ちなみにバイスという言葉ははじめて登場しますが、これもすでに触れている以下のものになります。
別名、万力とも呼ばれます。
切断治具
切断治具とは、加工されるもの(ワーク)を特定のサイズにするためのものとなります。
簡単に言うと、加工されるもの(ワーク)を目盛りとストッパーに合わせることで簡単に希望のサイズに切断できる、というものです。
曲げ治具
曲げ治具は、名前の通り加工されるもの(ワーク)を特定の形に曲げるためのものになります。
このように、加工されるものを金型で挟み込むことで形成できる、というものがあげられます。
塗装治具
塗装治具は、加工されるもの(ワーク)の特定の箇所を塗装するためのものです。
簡単にいうと、塗装したい部分が繰り抜かれていて、加工されるもの(ワーク)にこれを当てて塗装することで、希望通りに加工できるというものになります。
似た原理のものとしては、メッキ治具もあげられます。
溶接治具
溶接治具は、溶接の加工をする際に使う、加工されるもの(ワーク)を固定する治具などがあげられます。
また他にも、溶接は平面での加工が求められる場合もあり、それを可能とする溶接定盤などもあげられます。
ちなみに、溶接定盤には加工されるもの(ワーク)を固定する役割を担っているものもあります。
例えば、穴が開いている台のようなものです。
固定治具と組み合わせて使うことで、溶接の加工をサポートすることが可能です。
熱処理治具
熱処理治具は、言葉の通り熱処理の加工をする際に使われるものとなります。
例えば、熱処理の加工をする際に、加工されるもの(ワーク)を入れる、バスケットやトレイなどが該当します。
組み立て治具
治具の種類としては、何も加工をするタイミングだけで使われるものではありません。
部品が揃ったタイミングでも治具は存在し、そのひとつに組み立て治具があげられます。
具体的には、組み立てる際に部品を固定するものや位置決めをするもの、また部品を傷つけないようにするため樹脂を使ったものなど、場面によってさまざまなものが存在します。
検査治具
部品が揃ったタイミングで使われる治具としては、検査治具もあげられます。
簡単に言うと、部品に問題がないか確認をするためのものです。
具体的には上記のように、寸法や形状などの精度を満たしているかどうかを確認する、ゲージなどがあげられます。
なお、ここまでいくつか治具の種類について説明をしてきましたが、基本的に決まった形はなく、本章の最初にも触れたように目的に応じて多種多様です。
そのため、基本的に治具は、オーダーメイドという形になります。
しかし、実際の治具の製作となると、見積り依頼や加工会社の選定など、手間も多いでしょう。
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治具を使う3つのメリット
ここまで、
「そもそも治具とは何なのか?」
「治具にはどんな種類があるのか?」
ということについて触れてきました。
その中で、メリットにも少し触れてきましたが、ここで改めて詳しく確認していきましょう。
早速結論からいきますが、治具を使うメリットは以下の通りです。
- 品質の均質化と向上
- 加工の簡易化と効率化
- 人の手によるミスの削減
それぞれについて、以下で簡単に説明していきます。
品質の均質化と向上
先程ドリルでの穴開け加工を例にあげた際に触れましたが、まず治具を使うことによって品質が安定します。
また、一定の品質を維持できるようになることから、全体で考えたときに向上へとつなげることになります。
そのため、複数工場を有していたり大量生産を必要としていたりする場合には、上記のことは大きなメリットとなるでしょう。
加工の簡易化と効率化
治具を使うメリットとしては、加工の簡易化もあげられます。
本来は難しい加工であっても、治具のサポートによって難しさを低減させられるようになる可能性があります。
なお、このことは難しい加工を人の手で行う必要がなくなることを意味しており、その結果効率化による時間の節約、また高度なスキルを要さなくて済むことからコストの節約にもつなげられる可能性があるのです。
人の手によるミスの削減
人の手によるミスを削減できることも、治具を使うことによって得られるメリットのひとつです。
先程触れましたが、治具によって加工の難しさを低減できます。
そのため、人の手で行う必要がなくなるため、これによるミスの削減につなげることができるのです。
ちなみにこのように人の手によるミスを削減できることは、コストの節約にもつながります。
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