立型マシニングセンタ|構造や種類・メリットデメリットや使用用途

  • 投稿日:2023年2月3日(金曜日)
立型マシニングセンタ|構造や種類・メリットデメリットや使用用途

立型マシニングセンタは、立てフライス盤から進化した工作機械です。
フライス加工・穴あけ加工・ねじ加工など、幅広い加工に対応可能なうえ、設置スペースが少ないことから、多くの現場で導入されています。
この記事では、そんな立型マシニングセンタについて、工作機械の構造や種類、メリットやデメリット、旋盤やフライス盤との違いなどについてご紹介します。

立型マシニングセンタの構造

立型マシニングセンタは、下の写真からもわかるように、主軸が垂直になっていて、製品や材料を上面から加工する仕組みになっています。

立型マシニングセンタ

主軸の下に見えるのがテーブルです。
立型マシニングセンタは、この主軸とテーブルの動きによって、XYZの3軸での加工が基本となります。

主軸とテーブルの動きのパターン

主軸がZ軸に動き、テーブルがXY軸に動く

主軸がXZ軸に動き、テーブルがY軸に動く

そして上の写真において、主軸の上に見えるのが、立型マシニングセンタの心臓部である、ATC(Automatic Tool Changer)です。
これにより、切削工具を自動で交換させることができます。
上の写真のATCはタレット式ですが、マガジン式もあります。

ATCの種類
タレット式ATC
ツールポットの外周に切削工具を装着する
下向きになった切削工具を主軸が取り出して交換する

マガジン式ATC
ツールマガジンに切削工具を装着する
チェンジャーアームが切削工具を取り出して交換する

その他立型マシニングセンタは、一番下にあり本体を支えるベッド、ベッドから立向きに伸びて支柱となるコラム、コラムの前面にあり主軸のX軸の動きを行うサドルなどから構成されます。

▼横型マシニングセンタについて
横型マシニングセンタとは|構造や種類・立型とのメリットデメリット比較
▼門型マシニングセンタについて
門型マシニングセンタ|構造や種類、立型とのメリットデメリット比較

立型マシニングセンタの特徴

立型マシニングセンタは、幅広い加工に対応可能なうえ、設置スペースが少ないことがメリットとしてあげられます。
しかし、他にもメリットはあり、またデメリットもあります。

立型マシニングセンタのメリット

立型マシニングセンタのメリットとしては、以下のことがあげられます。

  • フライス加工・穴あけ加工・ねじ加工など幅広い加工に対応可能
  • 設置スペースが少ない
  • 製品や材料のセッティングが用意
  • 製品や材料をセッティングするスペースが広いため大きなものの加工に向いている
  • 立型であることから重い製品や材料の加工に向いている
  • 上面から加工する仕組みのため一面加工に向いている
  • 多品種小ロットの生産に向いている

立型マシニングセンタのデメリット

立型マシニングセンタのデメリットとしては、以下のことがあげられます。

  • 立型であることから切粉が重力で落ちてたまりやすい
  • APC(Automatic Pallet Changer)=パレットチェンジャーでの自動化が難しい

立型マシニングセンタの種類

立型マシニングセンタは、マシニングセンタの種類のひとつです。
しかし、立型マシニングセンタの中でも、さらに種類はわけられます。

そんな立型マシニングセンタの種類は、大きく以下の3つです。

  • 30番
  • 40番
  • 50番

この数字は、シャンク径の大きさを意味しています。

シャンク

シャンクとは、切削工具を装着するときのホルダーのことで、この径によって立型マシニングセンタは種類がわけられるのです。

ちなみにシャンク径は…
▼30番
31.75mm
▼40番
44.45mm
▼50番
69.85mm

それぞれの特徴は以下の通りです。

30番

30番は、加工が高速な反面、シャンクの保持力が弱い特徴を持ちます。
そのため、大きな切削抵抗が発生する加工には向いていません。
なお、本体がコンパクトなため、設置スペースが少なく済むメリットがあります。

40番

30番と50番の中間であることからもわかるように、本体も中型となっています。
また、シャンクの保持力とのバランスもよく、最も汎用的な種類です。

50番

50番は、本体も大きく、シャンクの保持力も優れている特徴を持ちます。
大きな切削抵抗が発生しても対応可能なため、大きな製品や材料の加工に向いています。

製品や材料ごとの向いた種類の参考

立型マシニングセンタは、シャンク径の大きさによって剛性が変わります。
そのため、製品や材料の大きさ・重さ・材質によって、向いた立型マシニングセンタの種類も変わります。

例えば、鉄鋼などの硬い材質の製品や材料には、40番以上が向いていると言えます。
硬い材質の製品や材料は、刃物への負担もかかるため、剛性が高くなければ切削できません。
逆に30番が向いている製品や材料としては、アルミダイキャストや小型の鉄鋳物などがあげられます。

なお、前述にもあるように、製品や材料の大きさと重さも関係します。
つまり、材質が硬くても大きさが小さければ、切削抵抗が小さく加工可能ということです。
また、例えば大きくて重いアルミダイキャストであれば、材質は硬くありませんが、切削面が大きかったり加工しろが多かったりする場合、切削抵抗は大きくなるため、30番では難しいということもあります。

立型マシニングセンタの使用用途

立型マシニングセンタは、フライス加工・穴あけ加工・ねじ加工など、全般的な切削加工を行えるため、金属はもちろんプラスチックやセラミックスなど、さまざまな材質で使用されています。

自動車産業では各部品やボディの金型の製作、またEV用バッテリーの金属加工などで活躍しています。
また、最近では半導体製造装置の市場が拡大しており、これに伴い電子部品用・精密部品用の金型の製作が加速して、ここでも立型マシニングセンタは活躍しています。

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