精密板金加工と他の板金加工との違いとは?製品例や加工方法も紹介
精密板金加工とは、薄い金属板を高精度に加工する方法です。
この記事では、そんな精密板金加工について、他の板金加工との違いや製品例、加工方法などを解説します。
目次
精密板金加工とは?
精密板金加工とは、板金加工の一種ですが、より薄い金属板をより高精度に加工する方法です。
そのため、気密性や小さく複雑な形状が求められるといった、医療機器や通信機器などに用いられます。
とはいえ、基本的に加工方法は一般的な板金加工と同じで、抜いたり曲げたり溶接したりといったものとなります。
また、専用の金型を使うわけではなく、汎用の金型を使う点においても、一般的な板金加工と同じです。
なお、このように汎用の金型を使う点から、プレス加工のような大量生産には向いた加工方法とは言えません。
ただし、大ロットとまではいかずとも、小~中ロットの場合や、試作といった場合には向いていると言えます。
精密板金加工と他の板金加工との違い
そもそも板金加工は、以下のようにいくつかの種類にわけられます。
種類 | 説明 |
自動車板金 | 手加工板金に分類され、車の傷やへこみを修理する板金加工 打ち出し板金やたたき板金とも言い、ハンマーでたたいたりパテを使ったりする |
建築板金 | 手加工板金に分類され、建物の屋根や外壁、雨どいやダクトなどを製作する板金加工 一般的に取り付けまで行われる |
工場板金 | 主に機械を使い工場にて行われる板金加工 一般的な板金加工に加え、精密板金加工もここに分類される また、専用の金型と専用のプレス機を使い、大量生産に向いた、精密板金加工に似た、プレス加工(プレス板金)もここに分類される |
では、工場板金における、精密板金加工と他の板金加工との違いについて、精度、材料、費用の3つの面から解説します。
精度から見る違い
精密板金加工は、金属板をより高精度に加工する方法です。
一般的な板金加工の場合、寸法公差は±0.5mm~2.0mm程度です。
しかし精密板金加工の場合、曲げ加工では±0.1mm~0.2mm、抜き加工では±0.05mm以下の寸法公差を求められることもあります。
材料から見る違い
精密板金加工は、より薄い金属板を加工する方法です。
一般的な板金加工の場合、金属板の厚みは6mm程度になります。
しかし精密板金加工の場合、金属板の厚みは最大3mm程度です。
また、素材においても違いがあります。
一般的な板金加工の場合、SPCCのような鉄やSUS304のようなステンレスなどが多いです。
しかし精密板金加工の場合、加えて銅や真鍮、さらにはバネ材も対象となります。
費用から見る違い
精密板金加工も、一般的な板金加工と同じで、汎用の金型を使います。
一方、プレス加工の場合、専用の金型と専用のプレス機を使います。
そのため、精密板金加工も一般的な板金加工も治具は必要としますが、プレス加工と比較するとイニシャルコストを抑えることが可能です。
なお、板金加工の基礎知識については以下の記事で解説しています。
ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
▼板金加工の基礎知識についての記事
板金加工とは?特徴や種類・加工工程やプレス加工との違いなどを解説
精密板金加工が用いられる製品例
精密板金加工は、一般的な板金加工と比較して、より薄い金属板をより高精度に加工する方法であることから、気密性や小さく複雑な形状が求められるといった、医療機器や通信機器などに用いられます。
具体的には、医療機器においてはエアシャワーがあげられます。
これには、エアシャワーを通して汚染物質がクリーンルームに入らないように、気密性が求められます。
また通信機器においても、内部に塵埃などが入り込まないようにしなければなりません。
その他、半導体装置や工作機械といった産業設備においても、筐体やフレームといった部分で精密板金加工は用いられます。
ちなみに、身近なところでは、会社で使われるロッカーも、精密板金加工の製品例のひとつです。
精密板金加工の加工方法
精密板金加工は、以下の流れで行います。
- 設計
- 図面展開
- 抜き加工
- 前加工
- 曲げ加工
- 溶接
- 表面処理
- 組立
簡単に以下で解説します。
設計
加工のしやすさや費用、また工程などを考えて図面を設計します。
図面展開
第三角法で描かれた図面から平らな金属板への展開をイメージします。
抜き加工
レーザー加工機やタレットパンチプレスを用途別に使い、金属板から任意の形状に切ります。
前加工
抜き加工後に生じるバリを取ったり、曲げ加工後では難しいタップ加工をしたりします。
曲げ加工
主にプレスブレーキを使い、直角や鋭角、R曲げや折りたたむようなヘミング曲げなど、金属板を曲げていきます。
溶接
曲げ加工を行った部品を、アーク溶接やレーザー溶接などで接合します。
仕上げ
溶接後に、サンダーやペーパーなどを使い、接合部の肉付きを平らにします。
表面処理
メッキや塗装などにより、部品の表面にあらゆる効果を付与したり着色したりします。
組立
製作した部品をねじなどを使い組み立てます。
まとめ
精密板金加工の概要から他の板金加工との違い、また例品例や加工方法を解説してきました。
精密板金加工は、一般的な板金加工と比較して、より薄い金属板をより高精度に加工でき、プレス加工よりイニシャルコストを抑え、小~中ロットまた試作といった場合に適している特徴を持ちます。
そのため、非常に広い分野で用いられている金属加工方法のひとつです。
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