ステンレスパイプの曲げ加工の方法と注意点

  • 投稿日:2024年4月11日(木曜日)
ステンレスパイプの曲げ加工の方法と注意点

ステンレスパイプは、名前の通りステンレスのパイプで、強度や耐食性に優れることから、非常に幅広い分野で使用されています。
具体的には、門扉や手すりなどの建築構造物やエクステリア、さまざまなシーンにおける液体や気体を通す配管などがあげられます。

なお、実際にステンレスパイプを使用する際には、用途に合わせて加工を行うことが多く、その代表としてあげられるのが、曲げです。
しかし、ステンレスパイプの曲げ加工は注意しなければならないことが多く、一般的に難しいとされています。

ステンレスパイプの曲げ加工の方法

ステンレスパイプの曲げ加工を行う方法としては、以下の2種類が代表的です。

  • パイプベンダー
  • 高周波曲げ

パイプベンダー

ステンレス問わず、パイプを曲げる加工機をパイプベンダーと呼びます。
曲げ型や締付型、圧力型などの型や、パイプを潰さないための心金を使い、油圧(油圧式)やサーボモーター(電動式)の力で曲げる、最も一般的な方法です。

精度の面では油圧式より電動式に軍配が上がりますが、いずれも大きな力を加えることができるため、径が大きかったり厚みがあったりするステンレスパイプの曲げ加工を行うことができます。
なお、加工機は一度の曲げ加工を行うロータリーベンダーと、複数の曲げ加工を行うNCベンダーに大きく分けられます。

ちなみに、パイプベンダーには人の手で行うことができる作業性の高い手動式もあります。

高周波曲げ

高周波曲げは、熱による高温を利用して、ステンレスをはじめとしたパイプを曲げる方法です。

高周波とは高周波誘導加熱を意味し、800度~900度程度で加熱することから、この方法は別名熱間曲げとも呼ばれます。
ちなみに、先ほどのパイプベンダーによる方法は720度以下で行う冷間曲げの一種で、これにはロール曲げも分類されます。

高周波曲げは、加熱することで変形する、金属の性質を利用した方法です。
なお、加熱することでステンレスパイプに耐久性を持たせることができます。
また、加熱することで柔らかくなるため、小さな力で曲げることができる点もメリットのひとつです。

高周波曲げは時間やコストのかかる方法ですが、パイプベンダーでは対応不可能な径の大きさや厚みのステンレスパイプの曲げ加工を行うことができる特徴を持ちます。

ステンレスパイプの形状による種類

ステンレスパイプの曲げ加工は、形状によって以下のようにさまざまな呼び方があります。

  • へ型曲げ
  • L型曲げ
  • レ型曲げ
  • U型曲げ
  • コ型曲げ
  • Z型曲げ

へ型曲げ

への字型のように、90度未満の角度に曲げた形状です。
10度~85度程度の角度に曲げた形状をへ型曲げと呼びます。

L型曲げ

アルファベットのL字型に曲げた形状です。
90度に曲げる場合、ステンレスパイプはスプリングバックを起こしやすいため、注意が必要となります。
このスプリングバックを考慮して、90度以上に曲げた後、調整を行います。

レ型曲げ

レの字型のように、直角よりも小さな角度に曲げた形状です。
95度~175度程度の角度に曲げた形状をレ型曲げと呼びます。

U型曲げ

アルファベットのU字型に曲げた形状です。
180度に曲げた形状を指し、一般的に先に両端を曲げ、後で中央部を曲げます。

コ型曲げ

コの字型に曲げた形状です。
L型曲げを2回行い、コの字型にします。

Z型曲げ

アルファベットのZ字型に曲げた形状です。
曲げる2箇所が直角より小さな角度でなく、直角の場合も一般的にZ型曲げと呼びます。

ステンレスパイプの曲げ加工の注意点

ステンレスパイプの曲げ加工は注意しなければならないことが多く、一般的に難しいとされています。
その注意点としてあげられるのが、以下の4つです。

  • 加工硬化
  • 曲げ内側のしわ
  • 曲げ外側の割れ
  • 摩擦面の焼き付き

加工硬化

ステンレスはもともと、力を加えると固くなる、加工硬化と呼ばれる特徴を持ちます。
そのため、ステンレスパイプの曲げ加工を行う際、クラックと呼ばれる割れが発生することがあります。
この対策としてあげられるのが最小曲げRの考慮ですが、これは他にしわの発生への対策にもなります。

曲げ内側のしわ

ステンレスパイプの曲げ加工を行う際、内側には圧縮応力がかかります。
これにより、曲げ部の内側にしわが発生することがあります。
そのため、最小曲げRを考慮して、これより小さなRで曲げないようにしなければいけません。
なお、最小曲げRはステンレスパイプによって異なるため、あらかじめ確認しておく必要があります。

曲げ外側の割れ

ステンレスパイプの曲げ加工を行う際、内側だけでなく外側にも引張応力がかかります。
これにより、曲げ部の外側に割れが発生することがあります。
また、引張応力は、外側の凹みの発生の原因にもなります。
この注意点についても、先ほど触れた最小曲げRを考慮することが大切です。
加えて、割れへの対策としては、曲げ加工を行う前にステンレスパイプの表面の傷や酸化被膜を除去したり、熱処理を行ったりすることなどがあげられます。

摩擦面の焼き付き

ステンレスパイプの曲げ加工を行ううえでの注意点としては、摩擦面の焼き付きもあげられます。
これは、熱伝導率が低いステンレスの特徴により、パイプと工具の摩擦面に熱がこもり、くっついてしまう現象です。
ステンレスの種類により熱伝導率は変わりますが、潤滑油の使用などが対策としてあげられます。

まとめ|部品製作のことならJig Match

この記事ではステンレスパイプの曲げ加工について解説してきました。
ステンレスパイプの曲げ加工には、正しい知識と技術が必要で、一般的に難しいとされています。
そのため加工を行う際はもちろん、加工を依頼する際も、それらを押さえておくことが大切です。

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