ステンレス材の表面仕上げ、どれを選ぶ?よく使われる6種類をわかりやすく解説!

目次
はじめに
ステンレス(SUS)といえば、サビに強くて見た目もきれい。キッチンや建材、工業用の部品まで
あらゆる場面で使われていますよね。でも、いざ加工を依頼しようとすると、よく聞かれるのが「表面仕上げはどうしますか?」という質問。
「え、そんなのあるの?」「どれを選べばいいかわからない…」と戸惑う方も多いと思います。
実はステンレスには、見た目や機能性を左右する【表面仕上げ】の種類がたくさんあります。
仕上げの指定を変えることによって、用途や見た目など、目指す形に適した製品になるんです。
この記事では、加工を初めて依頼する方や仕上げに迷っている方のために、製造現場でよく使われる6種類(No.1、2B、BA、#400、HL、No.8)に絞って、それぞれの特徴や選び方をわかりやすく解説していきます。
表面仕上げを選ぶときのポイント
ステンレスの仕上げは、単に「見た目がキレイ」なだけではありません。使用目的や環境によって、適した仕上げを選ぶことがとても大切です。ここでは、仕上げを選ぶときに押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
見た目の印象(ツヤあり/なし)
まず大きな違いは「表面のツヤ感」。ピカピカの鏡面仕上げもあれば、落ち着いたマットなものまでさまざまです。
例えば、高級感を出したい内装には光沢のある仕上げが合いますし、無骨で実用性重視の工業部品ならつや消しの仕上げが選ばれることが多いです。
加工のしやすさ
仕上げの種類によって、加工が容易なもの・難しかったり手間がかかるものがあります。手間のかかる加工を選択すると仕上がりは美しくなりますが、加工コストが増すこと、納期が延びるかもしれないことなどを気にかけておくと良いと思います。
汚れのつきにくさ・メンテナンス性
ステンレスは基本的にサビにくいですが、仕上げの種類によって汚れの目立ちやすさが違います。たとえば、鏡面仕上げは水垢や指紋が目立ちやすいですが、ヘアライン仕上げは傷が目立ちにくく、お手入れしやすいとされています。
使用環境(屋外/屋内、食品用など)
屋外で使うなら耐久性・耐候性を重視する必要がありますし、食品まわりでは衛生面に配慮した滑らかな表面が求められます。仕上げは、こうした使用場所との相性も考慮しましょう。
代表的な6種類の表面仕上げ
①No.1(酸洗い(さんあらい)仕上げ)
酸でステンレス材表面のスケール(圧延時などの熱により表面にできる黒い酸化被膜)を除去した仕上げ。スケールの除去によりステンレスの性能が発揮される。見た目が無骨ではあるが、そのまま使用できる。
主な用途:工業用タンク、配管、機械部品、構造材などの分野。
選ぶポイント:コストを抑えつつ、耐食性が必要なときに。屋外や水回りなどでも活躍します。
②2B(一般的な冷間圧延仕上げ)
冷間圧延後に軽く焼きなましして、表面をロールで軽く仕上げたもの。
ややツヤがあり、全体的に均一で滑らかな質感が特徴。
主な用途:キッチン機器、家電、建材内部、パネルの裏面など。
選ぶポイント:加工性が良くコストも手頃なので、幅広い用途に使える万能仕上げ。迷ったらまず候補に。
③BA(光輝焼鈍仕上げ)
2B仕上げに似ているが、焼きなましを「無酸素状態」で行うことで、よりピカピカで明るい光沢感が出る。鏡面には及ばないものの、非常にきれいな見た目。
主な用途:調理器具、装飾パネル、内装部品など、見た目重視の製品。
選ぶポイント:鏡面まではいかないけれどツヤ感がほしい、というときにピッタリ。
④#400(バフ研磨仕上げ)
ステンレス表面を研磨ベルトやバフで仕上げたもの。ピカピカしているが、No.8ほどの鏡面感はなく、少し細かい傷が見えることも。
主な用途:厨房機器、エレベータ扉、建築金物など。
選ぶポイント:外観もある程度きれいにしたいけど、コストを抑えたいときに。見た目と実用性のバランス型。
⑤HL(ヘアライン仕上げ)
その名のとおり「髪の毛のような筋目」が均一に入った仕上げ。光はある程度反射するが落ち着いた光沢感。高級感があり、傷が目立ちにくい。
主な用途:建築内外装、ドアパネル、看板、エレベータ内装など。
選ぶポイント:見た目に気を使う場所で「上品さ」や「傷の目立ちにくさ」を求めるならこれ。
⑥No.8(鏡面仕上げ)
まさに鏡のような反射を持つ仕上げ。バフやフェルトで何段階にもわたって研磨し、最もツヤが出る方法。美しさはピカイチだが、手間とコストは一番高い。
主な用途:高級装飾パネル、エレベータ内装、デザイン重視の製品など。
選ぶポイント:とにかく見た目重視。圧倒的な光沢で魅せたいときに。
種別 | 見た目 | 特徴 | 向いている用途 |
No.1 | ツヤなし、ざらつき | 安価で耐食性◎ | 配管、タンク類など |
2B | ややマット、実用的 | バランス型で加工しやすい | 工業用部品、バックパネル |
BA | 明るい光沢、上品 | 見た目重視で加工もしやすい | 厨房機器、医療機器、内装 |
#400 | やや光沢、滑らか | コスパ良・外観も◎ | 家電パネル、機械部品 |
HL | 一方向の縞模様、落ち着いた光沢感 | 上品で傷に強い | 建材(エレベータ内装、外壁) |
No.8 | 鏡面反射、美しい | 高級感がある | 鏡面パネル、装飾、内装 |
仕上げ選びで迷ったら?
「なんとなくイメージは掴めたけど、実際どれが目指す製品に合ってるのか分からない…」
そんなときは、遠慮なく加工業者さんに相談してみましょう。
プロは用途や予算、加工のしやすさなどを踏まえて、最適な仕上げを提案してくれます。
特に初めて加工を依頼する方は、「見た目」「強度」「コスト」など、優先順位をざっくり伝えるだけでもスムーズに選びやすくなりますよ。
まとめ
ステンレスの表面仕上げは、単なる見た目の違いだけでなく、機能性や使いやすさにも大きく関わる大事な要素。
今回ご紹介した6種類には、それぞれに得意なシーンや性格があります。
どれを選ぶかは、「どんな場所で」「何に使うか」「どこまで見た目にこだわるか」次第。
正解はひとつではありません。
だからこそ、目的に合った選び方ができれば、満足のいく仕上がりになるはずです!
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