【材料選択に役立つ】SUS303とSUS304の違いを特徴・用途から解説

  • 投稿日:2024年1月22日(月曜日)
【材料選択に役立つ】SUS303とSUS304の違いを特徴・用途から解説

SUS303とSUS304は、ステンレスの中でも、オーステナイト系ステンレス鋼に分類される、代表的な種類になります。
この記事では、そんなSUS303とSUS304の違いを解説します。

SUS303とSUS304の基本情報

SUS303とSUS304の基本情報を解説します。

SUS303とは

SUS303は、主に加工性や切削性に優れていることが特徴です。
構成している成分は、一般的に鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)を主としています。
加えて、リン(P)や硫黄(S)なども添加されています。
ちなみに、このリンと硫黄が添加されていることが、SUS303が加工性や切削性が優れている理由です。
また、これにより工業製品に幅広く使われています。

SUS304とは

SUS304は、広く流通していて、汎用性が高いことが特徴です。
構成している成分は、一般的に鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)を主としています。
ちなみに、SUS303ほどリンと硫黄が添加されていないことから、粘り気があり強度や耐食性がある特徴を持ちます。
しかし、この粘り気により、加工性や切削性には優れません。
この点を改善したものがSUS303になります。
なお、そんなSUS304はスプーンや手すりなど、身近なシーンで幅広く使われています。

SUS303とSUS304の特徴の違い

SUS303とSUS304の違いを、特徴の面から解説します。

加工性・切削性の違い

SUS304は粘り気があり、加えて加工硬化と呼ばれる現象を起こします。
そのため、加工性や切削性には優れません。
一方、SUS303はリンや硫黄が添加されていることから、加工性や切削性が優れます。

切粉の違い

SUS303は、切削を行うと細かい切粉を発生させます。
一方、SUS304は粘り気があるため、一本に繋がったような形状の切粉を発生させます。
なお、これはSUS303とSUS304の見分け方のひとつと言えます。

耐焼付性の違い

SUS303は、SUS304に比べて耐焼付性が高いです。
焼付性とは、金属同士が摩擦した際、表面が密着して取れなくなってしまうことです。
そのため、上記のような環境においては、SUS303の方が向いています。

耐食性の違い

SUS304は、SUS303に比べて耐食性が高いです。
そのため、水に触れて錆が発生しやすいといった環境では、SUS304の方が向いています。

溶接性の違い

SUS303は、リンや硫黄が添加されていることから、溶接に向いていません。
ステンレスに限った話ではなく、これらは溶接において割れなどの原因になります。
SUS304もリンや硫黄が一切添加されていないわけではありませんが、SUS303よりは溶接性に優れます。

価格の違い

広く流通していること、またSUS303にはリンや硫黄が添加されていることからも、材料費としてはSUS304の方が安くなる傾向にあります。

SUS303とSUS304を見分けるポイント

SUS303とSUS304は、非常に似ています。
そのため、結論から言うと、見分けるポイントは切粉になります。

SUS303は、その特徴から細かい切粉を発生させます。
一方、SUS304は一本に繋がったような形状の切粉を発生させます。
そのため、SUS303かSUS304を見分けるには、切粉を確認することになります。

なお、当然目視では見分けることはできませんし、また磁性についてもSUS303、SUS304いずれもありません。
加工硬化によって磁性を持つこともありますが、見分けるポイントにはならないでしょう。

SUS303とSUS304の用途の違い

SUS303とSUS304の違いを、用途の面から解説します。

SUS303の用途

SUS303は、加工性や切削性が優れています。
そのため、ネジやナット、シャフトといった工業製品に幅広く使われています。
また、省力化機械や自動機の部品などもあげられます。

SUS304の用途

SUS304は、加工性や切削性には優れないものの、耐食性や溶接性に優れます。
そのため、食品や医療といった衛生面が求められるシーンで使われます。
また、エスカレーターや自動ドアといった身近なシーン、工業製品でもLNGタンクや洗浄機などの部品で使われます。

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