テーパー加工とは?旋盤を用いた方法や勾配との違いも解説

  • 投稿日:2023年7月6日(木曜日)
テーパー加工とは?旋盤を用いた方法や勾配との違いも解説

主に旋盤を用いて、円筒状のワークを先細る円錐状に加工する、「テーパー加工」。

テーパーという言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、例えば、デニムのズボンなどで、テーパードと言うように、裾の方向に向かって「シュッ」と先細りしているシルエットをイメージしてもらえばわかりやすいでしょう。
また、工事現場に置いてある円錐形の赤いカラーコーンなどもテーパーの典型例です。

テーパー加工は部品の強度を上げたり、オス・メスの嵌め合いを容易にしたり、軸のブレや振動・騒音などを軽減したりとメリットが多いので、部品の加工工程で重要な役割を演じています。

この記事では、主に、旋盤によるテーパー加工の解説と、「勾配」との違い、加工方法などについて解説します。

テーパー加工とは

テーパー加工は、円錐のように、先細りの形に加工する方法です。
テーパー加工は、主に旋盤を使用して回転するワークを切削工具で加工します。

例えば、シャフトやベアリングなどの加工に利用されます。
オスとメスをテーパー嵌合させることで、振動や騒音、軸ブレなどを軽減できます。
さらに、部品の寿命が延びて性能も上がります。

テーパーと勾配の違い

「テーパー」は、例えば、ソフトクリームの持ち手のコーンのように、先細る円錐形をイメージしてもらえればわかりやすいです。

一方「勾配」は、普段でも使われる言葉なのでイメージしやすいでしょう。
坂道のように、基準となる水平面に対して傾斜がある状態です。

以下では、「テーパー」と「勾配」の違いを、JIS規格の定義を参考に解説します。

テーパー

JIS規格では「テーパー」は、「投影図又は断面図における相交わる2直線間の相対的な広がりの度合い。」と定義されています。

テーパーは円錐状に先細りになっているので、軸方向の断面では、先細りを延長したその先で、傾きある左右の辺が交差するような形状です。
このように、断面上で互いに先細る左右の辺の広がり具合を「テーパー」と言います。

勾配

JIS規格では「勾配」は、「投影図又は断面図における直線の、ある基準線に対する傾きの度合い。」と定義されています。

勾配は普段でもよく使われる言葉で、断面上で、基準となる線に対する、もう一方の直線の傾き具合のことです。
そのため、「テーパー」はワークの軸方向の断面上で、軸を基準となる直線と考えれば、左右それぞれの辺に対して勾配がある状態と言えます。

旋盤によるテーパー加工の方法

旋盤による2つのテーパー加工方法と、テーパー角度の計算方法、角度を合わせる方法を解説します。

旋盤による2つのテーパー加工方法

旋盤によるテーパー加工方法は下記の2つありますが、「1.刃物台を傾ける方法」の方がよく使われます。
 

1.刃物台を傾ける方法

  • 1.複式刃物台を旋回させて、ワークの軸に対する傾きの角度を調節します
  • 2.縦と横送りハンドルを操作してテーパー加工の軸方向の終点を合わせます
  • 3.横送りハンドルを操作して軸に対して垂直方向の終点を合わせます
  • 4.刃物台送りを操作して加工の開始点に合わせます
  • 5.刃物台送りを操作しながら切削し、テーパー加工を行います

 

2.ワークを傾ける方法

ワークを傾ける方法は、削り始めるまでのお膳立てが大変ですが、自動送りで切削できる点が、「1.刃物台を傾ける方法」より優れています。

角度の計算方法

ワークの軸に対する刃物台の傾きの角度は、テーパーの角度ではなくて、テーパーの角度の半分になります。

ワークの軸に対する刃物台の傾き角度は勾配に相当します。
ワークは軸を中心に回転しながら削られるので、ワークの軸方向の断面では、先細る左右の辺は、軸を基準にして対称に、それぞれ同じ角度で勾配するように削られます。

角度を合わせる方法

刃物台を回転させて角度を合わせる方法は下記の2つです。
 

1.旋盤に刻まれた目盛りを利用する方法

精度が要求されない場合は旋盤の目盛りを利用します。
 

2.ダイヤルゲージを使用する方法

高い精度が要求される場合は、旋盤の目盛りで大まかに角度を合わせてから、ダイヤルゲージで正確に角度を微調整します。
芯押台の上にダイヤルゲージを置き、測定子を刃物台の側面に当て、縦送りハンドルで往復台を送って測定します。

ちなみに、旋盤については以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひあわせて参考にしてみてください。

▼旋盤ついて解説している記事
旋盤とは?構成や種類・加工方法や加工対象を解説

その他の2つのテーパー加工方法

1.ワイヤーカットによるテーパー加工

ワイヤー放電加工と言われる加工方法で、ワイヤー線に電流を流してワークを溶かして切断しながらテーパー加工を施します。
この加工方法には、下記のような特徴があります。

ワイヤーカットによるテーパー加工の特徴
  • 伝導性のある素材が加工可能
  • 精度の高い加工が可能
  • 難削材でも加工可能

2.プレス絞り加工によるテーパー加工

プレス絞り加工の「テーパー絞り」で、板材の上からパンチ(オスの金型)に圧力を加えて、下方のダイ(メスの金型)に押し込んでテーパー状に加工します。

まとめ|部品製作のことならJig Match

部品の機能性を向上させ、寿命も延ばせるテーパー加工を解説してきました。
「テーパー」とよく似たイメージの「勾配」との区別もしっかりしておきましょう。
また、旋盤によるテーパー加工は、刃物台をワークの軸に対して、テーパーの半分の角度(ワークの軸に対する勾配)に傾ける点に注意が必要です。

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