製造業のリードタイム・タクトタイム・サイクルタイムの違いを解説!

  • 投稿日:2023年11月2日(木曜日)
製造業のリードタイム・タクトタイム・サイクルタイムの違いを解説!

製造業の現場でよく耳にするリードタイム・タクトタイム・サイクルタイム。
この記事では、これら3つのタイムについて、違いもわかるよう簡単に解説します。

なお、それぞれ簡単にまとめると以下の通りです。

  • リードタイム:発注から納品にかかる時間
  • タクトタイム:ひとつの製品の製造にかける時間
  • サイクルタイム:ひとつの製品の製造にかかる実際の時間

リードタイムとは

リードタイムとは、発注から納品にかかる時間のことです。
そして現場においては、このリードタイムを短縮することが重要課題となります。

ちなみにリードタイムと言っても、これは細かくわけて考えられます。
詳しくは以下の通りです。

開発リードタイム 製品開発の企画から立案までの時間
発注リードタイム 発注してから納品されるまでの時間
納品リードタイム 発注を受けてから納品するまでの時間
調達リードタイム 製品製造のための材料などを仕入れる時間
製造リードタイム 製品製造の開始から完成までの時間
配送リードタイム 完成した製品を梱包してから納品するまでの時間

なお、現場において最も関係するのは、製造リードタイムです。
上記でも触れていますが、これは製品製造の開始から完成までの時間になります。

そしてこの製造リードタイムを短縮するための代表的な方法としては、ロボットの導入があげられます。
これにより、工程間のスムーズ化、さらには省人化・省力化も図れ、コストダウンにつなげることも可能です。

とはいえ、全体的にリードタイムを短縮するためには、上記のような工程間の時間だけでなく、不良品の削減や工場そのもののレイアウトの変更、無駄な在庫を抱えないようにするなど、総合的に考えることが重要です。

タクトタイムとは

タクトタイムとは、ひとつの製品の製造にかける時間のことです。

顧客から依頼された生産数をこなすために、ひとつの製品を何秒で製造できるかを求めるものになります。
ピッチタイムとも呼ばれます。

求め方は以下の通りです。

タクトタイムの求め方
稼働時間÷依頼された生産数

このタクトタイムをもとに、生産ラインやスケジュールの調整をすることになります。
そして、当然タクトタイムが短ければ短いほど、生産性は高いということになります。

なお、このタクトタイムは顧客目線であることが特徴です。

サイクルタイムとは

サイクルタイムとは、ひとつの製品の製造にかかる実際の時間のことです。
簡単に言うと、実測値のようなものになります。

求め方は以下の通りです。

サイクルタイムの求め方
稼働時間÷実際の生産数

なお、時間におさまらない工程があった場合、これはボトルネックと呼ばれます。

当然、このサイクルタイムもタクトタイムと同様に、短ければ短いほど、生産性が高いということになります。
しかし、サイクルタイムとタクトタイムはバランスが重要です。
このことについては、次で解説します。

なお、先ほどのタクトタイムとは異なり、サイクルタイムは生産側目線であることが特徴です。

タクトタイムとサイクルタイムは等しい状態が望ましい

先ほどタクトタイムとサイクルタイムについて解説しましたが、結論から言うとこれらは等しい状態であることが望ましいです。

  • ▼タクトタイム
    顧客目線で見る、依頼された生産数をこなすために、ひとつの製品を製造するうえでかかる時間
  • ▼サイクルタイム
    生産側目線で見る、ひとつの製品を製造するうえでかかる実際の時間

タクトタイムとサイクルタイムの違いは上記の通りになります。
これらが等しくない状態であると、以下のような問題が起こる恐れがあるのです。

タクトタイムが長くサイクルタイムが短い
この場合は簡単に言うと、目標を上回る生産数を実現できている、という状態になります。
一見、問題はなくむしろよいことのように思えますが、場合によっては在庫が多くなり過ぎてしまう恐れがあります。
タクトタイムが短くサイクルタイムが長い
この場合は簡単に言うと、目標を下回る生産数になってしまっている、という状態になります。
こちらに関しては、顧客から依頼された生産数を下回ることになるため、納期に欠品が生じる恐れがあります。

このように、タクトタイムとサイクルタイムはどちらかが長くても短くてもよい状態とは言えず、等しくあることが理想的な状態と言えるのです。

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