表面処理の種類ごとに用途、目的、加工方法、適した材質などを紹介

  • 投稿日:2023年4月6日(木曜日)
表面処理の種類ごとに用途、目的、加工方法、適した材質などを紹介

表面処理加工は、さまざまな材質に施せる加工なため、適切な処理方法を迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
間違った表面処理加工をしてしまうと、強度半減や逆効果になってしまうケースもあります。
最適な選定をするためには、基礎知識が必要です。

この記事では、表面処理加工の種類と特徴を解説しています。
また、メッキやアルマイトなどの処理方法も豊富なため効果や特徴もまとめました。

この記事を読むことで、表面処理加工の基礎知識を知り、どの表面処理加工を施すのが最適なのか判断できるようになります。

表面処理加工とは

金属や樹脂の表面に皮膜などを付加させる加工です。
目的は製品によりさまざまで、見た目を綺麗に仕上げる印刷や塗装、耐久性や耐食性を高めるメッキや溶射などの加工があります。

代表的な加工方法はメッキや塗装です。
暮らしの身近にある物ですと、紙にニスを引いている紙袋や車のコーティングなども表面処理加工の一種になります。

表面処理加工にはさまざまな種類があるため、選定方法が難しいです。

表面処理加工の種類

表面処理加工はさまざまな材質に対して行う加工法なため、多種多様です。
付加させたい性質や装飾によって加工方法が変わります。
処理方法も熱や化学処理、電解のように分類が多いです。

金属以外に樹脂や紙にも表面処理加工は用いられるため、自社で扱う材質に対応可能な表面処理加工の知識を得るのが良いでしょう。

表面処理加工を大きく分けると、除去加工と付加加工の2つに分かれます。
それぞれの種類について解説します。

除去加工

表面に耐久性や強度などを付加させる前に行う作業です。
余分な汚れなどを除去しなければ、メッキや塗装などが効率よく付加できません。
見た目も悪くなり、強度なども減ってしまうため、表面処理加工には欠かせない作業です。
除去加工を種類別に解説します。

除去加工
  • 洗浄
  • 研磨
  • エッチング

 

洗浄

表面の余分な汚れや油分などを取り除く作業です。
洗浄剤により表面の汚れをとるのはもちろんですが、溶剤による除去方法もあります。
水溶性のものには水で、油性の汚れはアルコールで除去します。
油分の除去やサビの除去など、取り除くものによって方法は変化し、除錆やブラストも洗浄作業です。

完全に除去するのは難しいため、どの程度の汚れが許容範囲か知っておくのが必要といえます。
洗浄は、付加加工前に行う製品に付着している余分な物を落とす重要な作業のひとつです。
 

研磨

研磨は文字通り磨く加工方法です。
研削とは違い、表面を磨くことで、材料の表面を滑らかにし、表面に付加加工をしやすくしています。

一般的には砥粒を用いた研磨が多いですが、化学研磨や電解研磨もあり、多種多様です。
液体ホーニングも研磨剤を用いるため、こちらに分類されます。

材料の表面に光沢を付与することで、付加加工をしやすくする重要な除去加工のひとつです。

▼研磨について紹介している記事
研磨加工の種類ごとの特徴を解説|研削との違いや基本的な手順も

 

エッチング

エッチング加工とは、イオンやアルカリの性質を利用した化学的加工法です。
エッチングには2種類あり、アルカリ性や酸性液の腐食性を利用して表面の不純物を除去する方法と、イオンビームにより材料表面の原子を除去して行う加工法があります。
主に鉄や銅、シリコンなどに用いられる除去加工です。

付加加工

付加加工とは、材質に耐久性や強さを付加させる加工法です。
被覆加工や焼き入れ加工などが付加加工に分類されます。
表面処理加工の最も重要な工程です。

除去加工
  • メッキ
  • アルマイト
  • 溶射
  • 塗装
  • 化成処理
  • ライニング
  • 表面熱処理

 

メッキ

付加加工の中で1番浸透している加工方法です。
メッキ加工には大きく3種類あります。

  • 機能メッキ
  • 防錆メッキ・防食メッキ
  • 装飾メッキ

 

▼機能メッキ

熱伝導や電流を流しやすくする電気特性、摩擦による摩耗を抑える耐摩耗性を付加させるメッキです。
防錆と防食以外の機能を付加するメッキが該当するため、多くの種類があります。
 

▼防錆メッキ・防食メッキ

錆や腐食を防ぐことを目的としているメッキです。
亜鉛メッキなどが該当します。
 

▼装飾メッキ

見た目を美しくする目的で行う方法です。
装飾クロムメッキなどが該当します。

金属だけでなく、ガラスやプラスチックにも可能なため、加工依頼するには、細かい分類まで指示する必要があります。

▼メッキについて紹介している記事
メッキ加工とは?目的・種類・特徴と処理のやり方や工程を解説
 

アルマイト

アルマイト加工とは、アルミニウムを電解処理して、人工的に酸化膜を生成する付加加工です。
アルミニウムとアルミニウム合金のみに行う付加加工で、アルミホイールやサッシなどに使われています。

アルマイト処理は日本で発明された表面加工です。
アルマイトには、通常のアルマイト処理のほかに、カラーアルマイトや黒アルマイトという種類があり、防錆や防食だけでなく、硬度や耐摩耗性が向上します。

メッキに似ていますが、アルマイトはアルミニウムに直接酸化被膜を生成し、メッキは金属の表面に膜をつける加工です。
見た目は変わりませんが、アルミニウム側に陽極と陰極の違いがあります。

▼アルマイトについて紹介している記事
アルマイト処理とは?種類やメリット・デメリットを徹底解説!

 

溶射

溶射とは、溶解に近い状態で吹き付けて皮膜を生成する付加加工です。

吹き付ける材質は、主に金属材料やセラミック、サーメットが用いられます。
吹きつけられる材料も同じく、金属材料やセラミックやサーメットを利用することが多いです。

加熱をして吹き付けるため、広範囲に吹き付けることが可能で、短時間の作業で済むメリットがあります。
しかし、熱影響があるため、薄い板などは変形してしまうのがデメリットです。

腐食や防錆はもちろん、耐摩耗性や電気特性も付加できます。
溶射加工をする際には、溶射装置が必要です。
ガス式溶射と電気式溶射があり、溶接機に似ています。

厚膜や大量生産には向かないデメリットもありますが、非常に優れている付加加工です。
 

塗装

塗装は身近に感じられる付加加工のひとつです。

見た目をきれいにする美観性をイメージする人も多いと思いますが、水分や紫外線から守る耐久性を付加する加工でもあります。
ほかにも防水や防食の機能性を付加する機能もあるのが塗装です。

塗装の種類は、大きく分けて5種類あります。

  • 溶剤塗装
  • 焼き付け塗装
  • 電着塗装
  • 静電塗装
  • 粉体塗装

 

▼溶剤塗装

シンナーなどの有機溶剤に顔料や樹脂を混ぜた塗料をハケやスプレーなどで添付する塗装です。
防錆性や耐久性が向上します。
 

▼焼き付け塗装

塗料に熱を与えて硬化させる塗装です。
加熱をすると硬化する専用の塗料を使い、約200度の温度で30分以上加熱します。
硬度や耐久性が向上し、熱が取れればすぐに使用できるメリットもあります。
 

▼電着塗装

複雑な形状の物に塗装をするときは電着塗装を用います。

塗料の中に素材を入れ電気を流すことで素材が陽極に、塗料を陰極にして付着させる方法です。
電着塗装の方法によって陽極と陰極が変わります。

皮膜が均一になるため、仕上げが綺麗です。
 

▼静電塗装

自動車の車体などに用いる塗装方法です。
帯電した塗料を使用し、静電気によって塗料を効率よく付着させる方法です。
塗料が飛び散らないため、効率良く塗装が可能で、大きさの制限がないメリットがあります。
 

▼粉体塗装

粉末状の塗料を静電気によって付着させたあとに加熱溶解する方法で、厚い塗膜を生成できます。

耐食性や耐薬品性に強いです。
有害物質を使用しないため、人体や環境に優しい塗装として急速に普及しています。

塗装は幅広く使われている付加加工です。
 

化成処理

化成処理とは、材料を水溶液に浸漬させることで化学反応を起こし、元の素材と違う皮膜を形成させる処理です。
化成処理は塗装の前加工として用いられることが多いですが、耐食性や防錆効果も期待できます。
化成処理には大きく分けて3種類あります。

  • リン酸塩処理
  • クロメート処理
  • ジンケート処理

 

▼リン酸塩処理

リン酸を用いるリン酸塩処理、水溶液に浸漬させる方法です。
主に鉄を始めとする金属系に用いられることが多く、表面を化学反応させることで皮膜を生成します。
防錆性や防食性が向上します。
 

▼クロメート処理

クロメート皮膜をつける化成処理のひとつです。
亜鉛メッキの仕上げに使われることが多く、耐食性を調整します。
 

▼ジンケート処理

亜鉛を金属表面に析出させる化成処理のひとつです。
主にアルミニウムにメッキする前処理として使われます。
アルカリ水溶液中に浸漬させて化学反応を起こさせる黒染め処理、耐食性が向上します。
 

ライニング

ライニングとは、コーティングと似ていますが、コーティングよりも厚い膜で覆う事ができる付加加工です。

ライニングの材料は、ゴム素材、樹脂素材、ガラス素材があります。
防音や耐衝撃性を得意とする付加加工です。
皮膜にする材質は、塩ビ、強化プラスチック、テフロン、ウレタン、ポリエチレンなどが用いられます。

主に配管などに利用する付加加工です。
 

表面熱処理

熱処理加工とは、素材を加熱と冷却を加えて形状を変えずに性質を向上させる付加加工です。

表面焼き入れと熱拡散処理があります。
表面焼き入れは、表面の必要な部分だけ加熱するもので、化学成分は変化しません。

熱拡散処理加工は、全体を加熱し、内部に拡散するため、化学成分が変化します。
非金属拡散と金属拡散に分かれており、表面焼き入れより幅広い用途に使われることが多いです。

表面処理加工の比較表

表面処理加工の効果を理解することで目的に合った処理を選べます。
しかし、処理方法には数多くの種類があるため、目的の効果や皮膜の厚さなどを目安にするのが良いです。

代表的な表面処理加工を表にまとめました。

処理名 加工方法 素材 効果
電気めっき 硬質クロム SS400などの鉄合金 耐食性と装飾性
電気めっき 亜鉛 鋼鉄 防錆
電気めっき ニッケル 鉄・銅・ステンレスなど 耐食性
アルマイト アルマイト アルミ合金 耐食性
化成処理 リン酸亜鉛皮膜 SS400などの鉄合金 塗装の下地処理
溶射 アーク溶射 伝導性のある材質 耐久性や耐摩耗性など
表面熱処理 高周波焼き入れ 合金鋼 硬度

表面処理加工の選定は知識がないと非常に難しいです。
外注する場合には何社かに問い合わせて比較しましょう。

表面処理加工の注意点

メッキなど多くの表面処理加工をすると数μmほどの厚さがプラスされます。
設計時に皮膜の厚さも考慮しておくことが必要です。

加工手順では、表面処理加工は最後に行うことが多いため、皮膜により寸法公差に収まらないこともあります。
外注する際には、「図面にメッキ後、仕上げ寸法」の記載をして加工をしてもらうようにすることで皮膜を加味した加工が可能です。

まとめ

表面処理加工について解説してきました。

金属だけではなく、樹脂やゴムなどにも表面処理加工は有効な手段です。
身近なところにも表面処理加工は関わっています。
塗装やコーティングなども表面処理加工の一種です。
金属等の材料に強度などの付加を与える付加加工と、付加加工をする前の除去加工に分類されます。

表面処理加工は種類が多いため、材質との相性や目的の効果を調べる必要があります
自社加工が難しい場合は、表面処理加工に特化している業者は多いため、外注することも視野に入れましょう。

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